• 「おしゃらく」歌謡の特徴

    「おしゃらく」の唄は、口説の形式でうたわれる。「高砂」「木更津」を初めとする語り物としての数多いレパートリーを持つ「そうだい節」を中心とした演目は、「上げ」と「唄」そして「切り」と呼ばれる歌謡から曲が成り立っている。曲の初めには必ず「上げ」と称する唄上げの節がある。たとえば「高砂」であれば「播州尾上の松」、「木更津」は、「木更津今朝立つ」、また「新川地曳き」は「アレワイサーオーオーサアハ」、和尚物の一つ「細田の川」では、「ヨイ十七が細の川を渡る」等となり、その曲の題目や歌詞の主要な部分のみをうたうのが、「上げ」で、この「唄い上げ」がすむと、本唄ともいうべき語りの節をうたう「唄」となる。この唄の初めの部分で踊り始めとなるきっかけを作る場所でもある。そして、終わりは「切り」となり、「上げ」の節を用いて「お目出度や」とか「次の切り」等の文句で唄じまいとなる。この「上げ」「唄」「切り」のあるのが「おしゃらく」歌謡の特長である。

    踊りの作法

    「おしゃらく」踊りの踊り手は、「踊り子」と称し、主に女性の役割である。「おしゃらく」踊りには手踊り物のみに見られる決まった作法がある。それは踊りの初めと終わりに踊り手が「何々踊り」の振りとは別に行う一種の観客に対しての礼儀的な仕草である。まず唄い手が「上げ」をうたう間、踊り手は右足のひざを立て、右手をそのひざの上にのせる。左手はおろした左ひざの前につき、頭を下げたかたちで、「唄」に入る直前まで待つ。そして「上げ」の終わりと「唄」に入る間に両手のひらを返して、その手を下におき、前にのめるような格好でお辞儀をして一足に立つ。これが踊りに入る「唄」待ちの踊り手の状態である。また唄が終わる直前にチョンと手を打ち、両方の手のひらを見せるようにして返しながら両ひざをついてお辞儀をして終わる。以上が、「おしゃらく」手踊り特有の作法である。